Mafia Franchise

『マフィア コンプリート・エディション』の脇役たち

予想読了時間3 分, 24 秒
Hangar 13の開発チームが『マフィア コンプリート・エディション』の脇役たちにまつわる制作の舞台裏について詳しくお話しします。

トミー・アンジェロの再キャストは『マフィア コンプリート・エディション』制作の過程のわずかな一部にすぎません。『マフィア』シリーズには、主人公が加わるマフィアのファミリーや対立する敵、1930年頃のロスト・ヘヴンの通りを往来する人々の存在が欠かせません。Hangar 13の開発者たちはトミー・アンジェロに新たな命を吹き込んだテクニック、トレーニングやテクノロジーについて語る一方で、新たな命を吹き込まれた『マフィア コンプリート・エディション』のストーリーの中でトミーを取り巻くキャストについても話してくれました。

英語版の『マフィア コンプリート・エディション』で脇役となるキャラクターたちの声と、モーションキャプチャーの演技、キャラクターデザインのモデルを担当した俳優たちのリストは以下のとおりです。もちろん、これがキャストの全てではありませんが、彼らは組織犯罪の闇社会でトミーが出会う主要な登場人物たちです。各対応言語は字幕がサポートされています。

サム:ドン・ディペッタ(Don DiPetta) ポーリー:ジェレミー・ルーク(Jeremy Luke) ドン・サリエリ:グレン・タラント(Glenn Taranto) サラ:ベラ・ポパ(Bella Popa) フランク:スティーブン・オリバー(Steven Oliver) ドン・モレロ:ソール・ステイン(Saul Stein) ノーマン刑事:ダメオン・クラーク(Dameon Clarke)

SUPPORTING CAST - TOMMY

『マフィア』のストーリーに更なる深みを

『マフィア コンプリート・エディション』では、2002年に発売された初代『マフィア』のストーリーをそのまま再現するだけでなく、ゲームプレイやゲーム内ムービーシーンを通して、トミー・アンジェロの不朽のストーリーがより深掘りされています。ストーリーを拡充して、トミーの物語のリアリティを追求するためには、脇役たちをより丁寧に描写し、彼の人生に登場する様々な人々を具体的に肉付けする作業が不可欠でした。「最終的には、ストーリーと登場人物の初代『マフィア』への忠実性は維持しながら、それらをさらに深く掘り下げようと考えました」と Hangar 13の社長であり CCO の ヘイデン・ブラックマン は語ります。「ポーリーが良い例です。オリジナルでは、彼は何をしでかすか分からない、不安定な危険人物という印象でした。面白い男ではありましたが、気性の荒い人物でした。今作では、ポーリーにはオリジナルと同様の性格を受け継いでもらいながらも、彼にさらなる深みを与えて、ゲームの終盤で起こるイベントの伏線となる描写を追加しました。彼には彼なりの考えがあり、大仕事に自らもアイデアで貢献したいと考えています」

一方で、サラはトミーの人生において最も重要で、最も大きな影響を与えた人物なので、『マフィア コンプリート・エディション』では、その役割がさらに大きく変化しています。「サラはトミーの恋人だったものの、オリジナルでは登場シーンはそれほど多くありませんでした。物語の始まりからトミーが必死に守ろうとしていた人物についてプレイヤーに詳しく知ってもらうために、彼女の登場シーンを増やしました。オリジナルでは、サラはサリエリのバーテンダーであるルイージの娘という設定だったので、彼女をバーで働かせることにしました。彼女を物語の序盤から登場させたことで、彼女がトミーの“仕事”をある程度理解していることを示すことができました」

SUPPORTING CAST - SALIERI

主役たちの演技に新しい要素が加わったことで、ロスト・ヘヴンの闇社会のボスたちの人物像も深みが増しました。「背後に大きな抗争が存在し、それが主人公がマフィアに誘われる背景になっていることを描写しました──それぞれのマフィアのファミリーには独自の歴史やしきたりも存在します。マフィアのボスのサリエリは常にモレロとの抗争について言及しており、さらに興味深いことに、彼らのかつての友情や長年のライバル関係についてもほのめかしています。私たちは、モレロファミリーとの抗争において、サリエリファミリーは格下だったということを明確にしておきたかったんです。これは何度も繰り返し強調されており、これによってサリエリの決断の動機が理解しやすくなっています」

また、シリーズ内での『マフィア』の影響力の大きさや、『マフィア トリロジーパック』の2作目以降の世界に影響を与え続ける出来事への理解が深まります。「時間をかけて、ゲーム内のあちこちに複数の''知られざる歴史''を隠しました。ストーリー内では十分に語られなかったものの、この世界がトミーの登場以前から存在し、彼が去ったあとも続くのだということを感じさせるような出来事や登場人物、場所について言及しています」と ブラックマン は説明します。

SUPPORTING CAST - GROUP

二人の困った男たち

サムとポーリーがいなければ、トミーが真面目なタクシー運転手からサリエリファミリーのメンバーに転身することはなかったでしょう。のちにトミーの友人となり、彼にギャングの手ほどきをする二人のキャスティングは、トミー役のキャスティングと大きく関係性がありました。「この二人には、主人公とは異なる特徴を持った俳優をキャスティングしたいと思っていました」と Hangar 13でプロデューサーを務める ニコール・サンドバル は語ります。「主人公に求められるものとは何か? それを補うのはどのような人物か?幸いなことに、トミーの友人であるサムとポーリーの人物像の基礎はオリジナルの時点でしっかりと固まっていました。それを基にして、ジェレミー・ルークとドン・ディペッタという二人の素晴らしい俳優をキャスティングし、アンドリュー・ボンジョーノの素晴らしいトミー役の演技とは対を成す演技を二人の掛け合いで実現したことが、本作の鍵になりました。この3人の掛け合いから生まれる魅力は彼らのモーションキャプチャーの演技にも表れており、全対応言語で彼らの絆を感じられます」

Hangar 13は、自社で手掛ける作品にキャストされる俳優同士が、仕事を共にするにつれて、家族のような間柄になることを望んでおり、『マフィア コンプリート・エディション』のタイトな収録スケジュールは間違いなく俳優陣の距離を縮める役に立ったと サンドバル は強調します。「彼らは毎日のようにただ共演をしていただけではありません──彼らは2か月半ずっと一緒に''生活''していたんです」と サンドバルは言います。彼女はモーションキャプチャーの全作業を監督し、主要な俳優全員のフライトを手配し、 Hangar 13のブルノのオフィスにて顔のスキャンを行いました。「俳優たちの絆が深まるのは素晴らしいことですが、私自身も彼らをまとめようとして、すごく口うるさくなっていました。『はい、みんな、静かにして!』ってね」と サンドバル は笑って言います。「セットでの悪ふざけを見ていると... ドンとジェレミーは生き別れの兄弟が喧嘩しているように感じられました。本当にすごかったですね。アンドリューは、二人のボケに対するツッコミ役という感じでした」

SUPPORTING CAST - NPC

ロスト・ヘヴンの住民たち

中心人物以外にも、ロスト・ヘヴンが実際にその当時に存在した街であると感じさせるには、そこで歩き、話し、暮らしている住民たちが重要になります。『マフィア コンプリート・エディション』のあらゆる設定からリアリティをより感じられるように、ロスト・ヘヴンの住民、警官、敵のギャングの声を担当した声優たちには、1930年代のアメリカ中西部の人たち独特の方言を学ぶための資料が渡されました。さらに、サンドバルはライターのウィル・ポーターが『マフィア コンプリート・エディション』の多くのNPC(ノンプレイヤーキャラクター)の細かな部分を肉付けするのを助けてくれたと言います。「彼は本作の舞台となる時代のリサーチを熱心に行ってくれました。当時の人々が使っていた方言やスラングだけでなく、人々がどんな話題について話していたかもリサーチしてくれました」 

ロスト・ヘヴンの通りにいる人々が口にする話題は禁酒法やニューディール政策から、時の大統領ハーバート・フーヴァーやフランクリン・ルーズベルトまで様々で、すべてが大恐慌によってもたらされた経済崩壊と社会の困難というレンズを通して語られます。現在ではほとんど耳にしなくなり、各地域の外国語に翻訳するのが難しい言葉も存在します。たとえば「Boondoggle」はフランクリン・ルーズベルト大統領のニューディール政策によって賃金がまかなわれる雑用を揶揄する言葉です。「ウィルが考えた雑踏で耳に入って来るセリフの中にはとっても面白いものがあります」と サンドバル 。「私が数十年ぶりに改めて歴史を学び直せただけでなく、彼のおかげで個々の住民たちに活き活きとした生活感が感じられるようになったと思います。これらの住民からはリアルな人間性が感じられます。ウィルが大量の資料を集めてくれたおかげで、市民の声を担当した俳優たちから素晴らしい演技を引き出せました」

2020年9月25日(金)に『マフィア コンプリート・エディション』が発売された後、脇役や住民の個性によって、トミーの物語が深みを増したものになっていることを、お客様ご自身が体験していただくことができます。ロスト・ヘヴンの街中に散りばめられたストーリーにまつわる小ネタを探し回るのがお好きなら、本作を大いに楽しめるはずです。「ヘイデンが Hangar 13を創設したときに成し遂げたかったことのひとつが、リアルな''生きている''と感じられる世界を作り出すことでした」と サンドバル は語ります。「ゲームにこれ以上ないリアリティを実現する方法のひとつが、この世界をぶらついて店主と顧客の会話を盗み聞きするプレイヤーのために、とっておきの小ネタを用意しておくことです。ファンの皆さんが、ゲーム内で耳にするちょっとした会話を楽しんでいただけるように願っています。私の本作中のお気に入りの部分のひとつでもありますから」