2002年にリリースされた初代『マフィア』をプレイした人なら誰もが、必死でレースしたのにフィニッシュライン間際で敗れてしまうあの悔しさを覚えているでしょう。初代版の再現となる「フェアプレイ」ミッションは、トミーがグランプリで優勝しなければならない特に困難なミッションです。初代版の完全なリメイクとなる『マフィア コンプリート・エディション』を開発するにあたり、Hangar 13は他のミッションよりも注目を集め、作品に決定的な役割を果たすことになるとわかっていました。
「『マフィア コンプリート・エディション』を発表したときに一番多く聞かれた質問は、レースを修正したかどうかでした」と Hangar 13のゲームディレクターのアレックス・コックスは振り返ります。「このミッションは非常に手ごわかったので、それについて沢山の意見を目にすることは予想していました」最新作のその他の部分と同様に、新たな「フェアプレイ」ミッションは、ファンが覚えている 初代版のミッションを忠実に再現する必要がある一方で、トミー・アンジェロの物語の続きを進めたいプレイヤーにとって、レーシングカーのスキルを誇示することよりも、クリア可能なミッションにする必要がありました。
「ユーザーテストでは作品のファンは極端な難易度の復活を望みました。あのレースを克服したことは、彼らにとって思い出深く懐かしい体験となっていたのです」とコックスは言います。「しかし、新しいプレイヤーの感想は真逆で、初代版を知らないため、何度もリタイアを繰り返しながら、高度なスキルをマスターする必要があるミッションというアイデアはしっくり来ませんでした。ただ、最終的にはどちらも満足させられる解決策が見つかりました。長年のファンはクラシック難易度で彼らが覚えている 初代版に近い体験を楽しめ、新しいプレイヤーは通常の難易度を選べば1930年代のグランプリレースのゲーム体験を簡単に楽しめるのです」
「このレースがゲームプレイの壁になっていはいけないと思っていたので、低難易度なら初回でもクリアできるように難易度を調整しました」と Hangar 13のリード・デザイナーのオンドレイ・ヴェイヴォダは言います。もっとも大きな変更点のひとつはレースカーのハンドリングで、以前と比べればゲーム内の他の車両と同じような操作性になっており、2002年の 初代版では即ゲームオーバーとなっていた横転も発生しにくくなっています。「また、ラバーバンドシステムも追加して、運転操作 AIがプレイヤーを対戦相手から離れすぎないように することで、常に接戦となるようにしました」とヴェイヴォダは言います。「特に低難易度では、プレイヤーが接触やコースアウトからすぐに復帰できることが重要です。ラバーバンドシステムによって、そのような状況ではプレイヤーが有利になり、すぐにレースに復帰できるようになりました。ただし、クラシック難易度はまったく違います。ここではプレイヤーが最初から最後まで完璧なレースを披露する必要があり、完璧なレーシングラインを見つけて、圧倒的に不利な状況を覆す必要があります」
クラシック難易度の「フェアプレイ」に苦戦している方は、次に挑戦する際にこちらの簡単なヒントを参考にしてみてください。
- コースを何度も練習して、対戦相手をじっくり観察しましょう。対戦相手は最適ななレーシングラインを走る傾向があります
- コーナーの前ではブレーキを踏みましょう。スピンするよりは減速してしまう方がましです。コース上のタイヤマークは、理想的なブレーキングポイントの参考になります
- コントロールを失いそうになったらアクセルを離して車両を起動修正しましょう。無理して加速するとスピンしてさらにタイムロスになってしまいます
- 草むらでコーナーをショートカットして有利になりましょう。草むらなら車両のハンドリングにそれほど影響を与えません。上手くやれそうであれば、他の車両に接触してズルく戦うことも可能です
「フェアプレイ」ミッションには難易度設定以外にも様々な変更が行われています。たとえば、初代版を忠実に再現したレースコースのコーナーやバンクは、運転しやすいように少し調整が行われています。また、レース開始前の部分もアップデートされていて、プレイヤーがスターティンググリッドにつく前にレースカーのハンドリングに慣れることができるようになっています。「オリジナルの設定では車両にダメージを与えるとペナルティが課されるので、プレイヤーはこのセクションでスピードを出すことが難しくなっていました」とコックスは言います。「リメイク版ではこの制約を排除し、プレイヤーが街中をスピードを出して走り、車両のハンドリングに慣れることができるようにしました」
『マフィア コンプリート・エディション』のその他の部分で改善が行われているのと同様に、「フェアプレイ」のレースを中心としたストーリーの描き方にも変更が加えられています。コックス はこう説明します。「サリエリ・ファミリーをコースに連れてきたことで、トミーがレースドライバーとして活躍する場面にリアリティが感じられるようになりました。ヘイデン(Hangar 13 の社長兼 CCO のへイデン・ブラックマン)が、このレースをサリエリとモレロが抗争を始める前の軽い争いに仕立て上げたところは気に入っています。2人のボスはライバル関係にあり、このイタリア系コミュニティの威信がかかったレースで2人がそれぞれ別のドライバーを大っぴらに応援しているという設定によって、それらしいシナリオに仕上がりました。このレースは生死を分けるような犯罪稼業とは関係がありませんが、2つのファミリーの間で徐々に対立が激化していくきっかけのひとつだったのです」また、新しくなった「フェアプレイ」ミッションはオリジナルのように唐突に終わることはなく、プレイヤーはレース後の祝勝会で勝利の余韻にひたることができ、そこで Hangar 13はトミーと親友のポーリー、恋人のサラの二人の登場人物のキャラクターに広がりを持たせました。
『マフィア コンプリート・エディション』が発売されたことで、コックス、ヴェイヴォダ、また Hangar 13の開発チームは、プレイヤーたちが新たな「フェアプレイ」ミッションに挑むのを楽しく見守ってきました。「ゲームが発売されて以来、絶望して天を仰いだり、最後の最後に抜かれて激怒したり、1位でゴールして歓喜したりと、ファンの皆さんがクラシック難易度のレースに挑む壮大な挑戦の数々を見てきました」と コックスは言います。「不可能だと思えるようなチャレンジを克服する感覚は現代のゲームでは滅多に味わえませんが、これは過去の時代のゲームにふさわしいオマージュだと思います」