Mafia Franchise

『マフィア コンプリート・エディション』のトミー・アンジェロを演じた役者

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Hangar 13が『マフィア コンプリート・エディション』の主人公となる役者を見つけた過程についてお話しします。

トミー・アンジェロがいなければ、現在の『マフィア』シリーズは存在しないも同然です。2002年の『マフィア』、そしてまもなく発売されるリメイク版の主人公である彼は、私たちにとって1930年代のアメリカの組織犯罪への水先案内人であり、マフィアの物語には欠かせない、同時に誰もが共感できるアンチヒーローなのです。Hangar 13が『マフィア コンプリート・エディション』の開発を始めたとき、そのプロジェクトの規模と、時代を超えて色褪せない『マフィア』の組織犯罪の物語のキャラクターを描くには、新たな役者を見つける必要がありました。その物語の中心にいるのが新たなトミー・アンジェロで、ストーリー紹介トレーラー「新たな始まり」にも登場します。

以下は『マフィア コンプリート・エディション』の各言語の吹き替えでトミー・アンジェロの声を演じた声優のリストです。英語版のトミーの声優であるアンドリュー・ボンジョーノは、トミーのキャラクターデザインやモーションキャプチャーのモデルにもなっています。各対応言語は字幕のみの場合も含みます。

英語:アンドリュー・ボンジョーノ(Andrew Bongiorno) フランス語:アレクシス・バレステロス(Alexis Ballesteros) イタリア語:ヴァレリオ・アモルソ(Valerio Amoruso) ドイツ語:マルクス・ジュスト(Marcus Just) スペイン語:リチャード・デル・オルモ(Richard del Olmo) ロシア語:ユーリ・ティトフ(Yuriy Titov) チェコ語:マレク・ヴァシュト(Marek Vasut)

TOTAL CAPTURE

『マフィア コンプリート・エディション』の役者たちによるモーションキャプチャーの様子。左から順に:ジョー・チャンブレロ( Joe Chambrello)、 ジョルディ・カバイェロ( Jordi Caballero)、 グレン・タラント( Glenn Taranto)、アンドリュー・ボンジョーノ( Andrew Bongiorno)

新たな役者を探して

『マフィア コンプリート・エディション』にふさわしい洗練された映画のような表現を実現するために、オリジナルの音声を再利用するということはありえませんでした。「『マフィア コンプリート・エディション』は完全なるリメイクであり、すべてを一から作り直しました」と Hangar 13の社長兼CCOのヘイデン・ブラックマンは語ります。彼は、本作の開発およびオリジナルのストーリーに新たなストーリーを追加する指揮をとりました。「カットシーンもすべて作り直されており、最先端のモーションキャプチャーとフェイシャルキャプチャーの技術が使われています。カットシーンではモーションキャプチャーのデータを多用することから、声の演技に加えて身体での演技の両方がとても重要でした。そこで、声だけではなく身体をつかった役を演じられ、音声の録音とモーションキャプチャー作業の両方に対して適役となる役者を探しました。」

「もちろん、オリジナル版の役者を起用する可能性についても考えました」と Hangar 13のプロデューサーである ニコール・サンドヴァル は言います。彼女はストーリー製作チームとともに、すべてのカットシーンのモーションキャプチャーとセリフの録音作業を監督しました。しかし、オリジナル版の役者を再度起用することは不可能でした。すでにオリジナルの『マフィア』が発売されてから約20年が経っていたためです。「時が経ってもずっと同じ声の人なんていません。しかも、これだけ長い時間が経過している訳ですからね。」と サンドヴァル は言います。

「ヘイデン も アレックス (アソシエイト・ゲームディレクターの アレックス・コックス)も私も、“完全なリメイク版は一体感をもったアンサンブルでなければいけない”と考えていたんです」と彼女は言います。「トミーだけでも(※オリジナルの役者や音声を)使えばよいのでは?と思う人もいるかもしれません。でも、それではリメイクで追加されたストーリーにふさわしい一体感のある作品を一から築き上げることはできないんです。Hangar 13はストーリーを重視しているため、その役者たちを選ぶ際には登場人物に命を吹き込むため、一緒に働きながら一つの家族のようになれる役者たちを選ぶようにしています。」

TOMMY ANGELO

新たなトミー・アンジェロを紹介

当然ながら、『マフィア コンプリート・エディション』の新たな役者を見つけるにあたって、もっとも重要で困難だったのは、トミー・アンジェロにふさわしい役者を見つけることでした。「結局のところ、ファミリーや仲間の絆を描くためには、彼を主軸にして役者の配役をする必要がありました。」と ブラックマン は言います。そして、Hangar 13はイタリア系オーストラリア人の役者、アンドリュー・ボンジョーノと出会いました。「トミーはマフィアであると同時に家庭的な人物でもある必要があります。」と ブラックマン は言います。「彼はゲームをプレイする皆さまの、いわば分身となるキャラクターであることも考慮する必要がありました。野心にあふれた、誰もが憧れる人物であると同時に、人間らしい弱さも表現したかったのです。また、多種多様な感情表現も求められます。オーディションを行ったとき、アンドリューは演技の中に感情の幅を見せてくれました。」

最初にオーディションを行ったとき、ボンジョーノ からは独特な落ち着きと冷静さを感じたと サンドヴァル は記憶をたどりつつ、語ります。「二度目のオーディションで、私たちは彼にその場で様々な指示を出して演技をしてもらいました。彼は丁寧に指示に従ってくれましたし、私たちの難しい注文にも、協力的な姿勢で臨んでくれました。それに、彼の容姿が、私たちが想像するトミーに重なっていたことも大きな要因でした。2002年当時はまだフェイシャルキャプチャーは技術的に不可能でしたが……『マフィア コンプリート・エディション』では、声と動作の演技だけでなく、「デジタルではない、現実の世界にトミーがいたら、こんな風貌だろう」という私たちの期待に応える役者を見つけることができました。今はテクノロジーの進歩でキャラクターの細かな外見にもこだわることができるようになったからこそ、ファンの皆さまのために本作を完全なリメイク版とする意義がありました。」

TOMMY ANGELO

とても興味深い話ですが、トミーを演じるにあたって、ひとつだけ ボンジョーノ が苦労したことがあります。「私たちが再配役を行う際に時間をかけたことのひとつが、役者たちにボーカルコーチによるトレーニングを受けてもらうことでした。」と サンドヴァル は言います。Hangar 13はオリジナルでもボーカルコーチを務めたエライザ・ジェーン・シュナイダーに再び協力を求めました。彼女は『マフィア III』のニュー・ボルドーの特徴的な抑揚の話し方の指導を担当していました。「私たちは再び彼女に協力してもらい、1930年代のシカゴの様々な抑揚の話し方を調べてもらいました」と サンドヴァル は言います。「彼女はたくさんのリサーチを行い、大量の動画やサンプルを送ってくれました。役者たちはそれぞれ彼女からマンツーマンの指導を受け、様々な抑揚での話し方身に着けました。」

「このリメイク作品で、(ロスト・ヘヴンのモデルとなっている)1930年代のシカゴを忠実に再現したかったんです。ニューヨークではなく、シカゴです──1930年代のマフィアと聞くと、ほとんどの人は典型的なニューヨークのマフィアを思い浮かべます。しかし、シカゴとニューヨークでは明白な違いがあります。もっとも特徴的な違いは ''R'' の発音です。ニューヨークでは ''Caw(カゥ)'' ですが、シカゴでは ''Car(カー)'' で ''R'' が強調されます。私は「''R'' の省略禁止!と書いたスローガンT シャツを作ろうかとも思いました!」と サンドヴァル は笑います。「これは少しでも忠実な再現を求め、本作で特に手間をかけた部分です。」

TOMMY ANGELO

トミー役にふさわしい男

''R'' の話はさておき、ボンジョーノ は誠実で真面目に働くタクシー運転手から義理堅いマフィアの下っ端になったトミー・アンジェロの二つの側面を演じるのにぴったりの役者でした。「トミー役の役者を探しているとき、私たちは多くの人々に共感されるような人物を探していました。」と サンドヴァル は言います。「トミーを演じる役者は、妻と子供を愛する家庭的な人物であり、私たちのヒーローとなるマフィアという、トミーの二つの異なる側面を演じる必要がありました。皆さまがゲームをプレイしながら、彼の成功を願わずにいられないほど感情移入できる、憧れのヒーローとしての側面だけでなく、家庭的な人物としての姿にも共感してもらえる必要がありました。このようなトミーの二つの側面を表現できる人物が必要でした。」ボンジョーノ はまさにそんな人物でした。『マフィア コンプリート・エディション』が発売されれば、プレイヤーの皆さまは、彼が演じるトミー・アンジェロにきっと魅了されるでしょう。「アンドリュー は素晴らしい演技を披露してくれました。彼が演じるトミー・アンジェロを見て、ファンの皆さまがどのように感じてくださるのかを見るのが楽しみです。」と サンドヴァル は言います。 

Hangar 13にとっては各言語への吹き替えも重要な要素であり、『マフィア コンプリート・エディション』の音声吹き替えに対応した言語では、1930年代の登場人物たちの全てを表現できる声優を探すため、言語ごとに配役を行いました。たとえば、チェコ語の吹き替えでは、トミー・アンジェロを演じる マレク・ヴァシュトをはじめ、オリジナル版のチェコ語の声優陣のほとんどを再び起用することができました。オリジナル版の声優に愛着をもってくださっていたファンにとってはとても嬉しいことでしょう。

もちろん、トミー・アンジェロは『マフィア コンプリート・エディション』に登場する様々なマフィアたちの一人にすぎません。次回はトミーの物語で脇を固める声優たちについて詳しくお話しします。お楽しみに!