Mafia: The Old Country

『マフィア:オリジン ~裏切りの祖国』で1900年代シチリアを再現する

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「マフィア」シリーズ全体において、舞台は主人公と同じくらい重要であり、ロスト・ヘヴン、エンパイアベイ、ニューボルドーは、トミー、ヴィト、リンカーンと同様にシリーズのアイデンティティを形成しています。『マフィア:オリジン ~裏切りの祖国』の舞台である1900年代初頭の美しいシチリア島も例外ではなく、その独特な地形は、「マフィア」シリーズ過去作で訪れたアメリカの大都会とはまったく異なる新たな体験を生み出します。シチリアの荒削りな田舎の美しさは、「マフィア」ファンにはお馴染みの都会の薄汚れた裏通りとは対照的ですが、この地で起きる裏切りや暴力の闇は、都会のそれ以上に深いものとなっています。 

起源に迫る

物語は、新たなアンチヒーロー、エンツォ・ファヴァーラの故郷であるシチリア島を舞台に展開し、シリーズに共通するテーマに新たな視点を投げかけつつ、裏社会の起源を描きます。ゲームディレクターのアレックス・コックスは「私たちにとって最も重要なことは、『マフィア:オリジン ~裏切りの祖国』を過去作の延長線上に据えることでした」と語り、『マフィア II』の時点でシリーズが既にシチリアへ向かっていたことを明かしています。2020年の『マフィア コンプリート・エディション』『マフィア トリロジーパック』の開発中に過去作を再考する中で、チームは「マフィア」シリーズを特別なものにしている要因を深く見つめ直し、これらに共通するクリエイティブな柱を大胆な新天地に落とし込みました。 

コックスは続けます。「マフィアが興ったシチリアの田舎にストーリーを据えることで、作品へのアプローチを変える必要がありました。空気感、乗り物、武器、ストーリーそのもの、ロケーションの方向性に影響しました。我々はまず始めに、このような問いかけをしました。『こうした犯罪の伝統はどこでどのように始まったのか、そしてインタラクティブな犯罪ドラマをデザインする上で、シチリアを特別たるものにするのは何か?』」

歴史に命を吹き込む

他の「マフィア」タイトルと同様、真実味のある設定にするためには、リアリティが不可欠な要素であり、Hangar 13の開発陣は徹底して研究しました。当時の貴重な写真や文献を掘り起こし、シチリアマフィアを描いた人気の書籍や映画を見尽くしただけでなく、開発メンバーやカメラマンから成るチームがシチリア島を訪れ、膨大な参考資料を集めました。 

イタリアの開発スタジオStormind Gamesの協力によって、『マフィア:オリジン ~裏切りの祖国』に登場する田園地帯から都会まであらゆるロケーションを隅々まで見てまわりました。撮影された画像と音声は詳細なものであったため、ゲーム内で探索することになるエリアのいくつかは、まるで現実世界そのままのように感じられます。「シチリアの田園地帯の多くは、今も当時と同じ趣を残しているので、良質な視覚的資料を得るのは容易でした」とアソシエイト・デザインディレクターのザミットは語っています。

実際のシチリアの風景を形作る環境を探索したチームは、それが画一的とはほど遠いものであることをその目で確かめました。実地調査や国内でのリサーチによって、緑豊かな田園地帯や海岸沿いの地形、古い遺跡、緻密なヴィラなど、多様で重なり合う景色を再現することができました。「現実に存在するものを分解し、それぞれのエリアに個別にアプローチすることが重要でした。それらを融合させる作業を始めたら、広大でありながら変化に富んだ1つのマップで、全てのエリアをシームレスに移動できるようになりました」とエグゼクティブ・プロデューサーのデヴィン・ヒッチは語っています。荒涼とした自然と比較的近代的な建築という珍しい組み合わせは、その時代を忠実に再現しており、世紀の変わり目を舞台にした『マフィア:オリジン ~裏切りの祖国』の犯罪ストーリーを際立たせています。 

リアリティがすべて

アートディレクターのスティーヴ・ノークは語ります。「ロケ中、角を曲がれば、ゲームの中の時代に足を踏み入れるような体験がありました。ほぼ全てのディテールが、田舎のロケーションだけでなく、私たちが訪れた小さな町や都会でも、まさに想像通りでした」。これらの場所において、ゲーム内で目にするほぼ全ての建築物のディテールを見つけられたとチームは述べています。さらに、この地域伝統の職人技を熟知する地元の専門家も見つかりました。

ノークは続けます。「老齢の男性とその息子がシチリア伝統のナイフを作っている小さな機械工場を訪れました。地域によってナイフの製法が微妙に異なるので、まるでワインのように、地図上にそれぞれのナイフを配置できます」。ナイフ作りの繊細な技術はシチリアの伝統に深く根差していますが、現在では、ごくわずかな職人だけが世界中のコレクターのためにこれらの武器を作り続けています。

新たなゲームプレイとストーリーテリングの可能性をはじめとする『マフィア:オリジン ~裏切りの祖国』のあらゆる側面において、この正確さにこだわり抜いた研究が反映されています。根本的なレベルでは、1900年代シチリアを正しく再現することで、ゲームの物語やキャラクターの動機、語られざるマフィアの黎明期に不可欠な背景が生まれます。それ以外にも、歴史に忠実であることは、開発全体における他のクリエイティブな決定の指針にもなりました。例えば、ナイフ戦や20世紀初頭の移動手段などに焦点を当てることで、プレイヤーがこれまでに体験したことがないような作品のアイデンティティを確立しました。

「路上で馬と自動車が並んで走るゲームはあまりありません」とザミットは語ります。『マフィア:オリジン ~裏切りの祖国』が他の作品と一線を画している要因の一つは、農業と都会生活が交錯する歴史的分岐点を描いていることです。「マフィア」過去作では比較的狭い農村地帯を移動できましたが、今作では田舎を中核に据えたことで、おなじみの要素が新しいものに感じられます。一新された環境、よりダイナミックな移動方法、時代に忠実なエンツォの武器、キャラクターの話し方や所作など、シチリアを再現するためのHangar 13の総合的なアプローチにより、シチリアは単に美しい背景以上の存在になっています。

『マフィア:オリジン ~裏切りの祖国』は、PlayStation 5、Xbox Series X|S、PC(Steam)で2025年8月8日(金)に発売予定です。もう間もなく皆さまにこの世界を体験していただくことができます。現在、予約・事前購入受付中です。開発者日記では、今後もこの唯一無二なシチリア犯罪ドラマの制作裏話を掘り下げていきますので、お楽しみに。